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◆腰痛は怒りである

長谷川 淳史・著/春秋社/1,300円
1984年に米国のジョン・E・サーノ博士が発表した腰痛の治療理論、TMS理論を日本に初めて持ち込んだ長谷川淳史先生の本。

実は私は慢性的な腰痛持ちで、季節の変わり目には必ずといっていい程、ぎっくり腰になっていまうという有様で、その度、整形外科でレントゲンや物理的治療を施されるのですが、現実問題、良くなった試しがありませんでした。

もはや腰痛はごまかしごまかし付き合わなければいけないものなのだと半ばあきらめかけていましたので、書店でこの本のタイトルを目にした時はかなり衝撃的でした。

実際、腰痛というものは物理的な原因で発症する事は極めて少なく、具体的な治療手段は確立されていないにもかかわらず、医療現場では当たり前のように対症療法を繰り返すに留まっているというのが腰痛治療の現実なのだそうな。

対してTMS理論は「深層心理の歪みが腰部の血流を阻害し、慢性的な腰痛を発症させる。その心理の歪みに最も悪影響を及ぼす感情が「怒り」である」・・・という物理的・薬理的療法とは全く異なるサイコロジー的な要素を多分に含んだ治療理論です。

このように対症療法とは対極に位置するTMS理論ですが、従来の治療手段では完治に至らない慢性的腰痛であっても、驚くほど顕著な効果を発揮している事が臨床レベルで証明されているということです。

かくいう私も、この本を読み終える頃には、心持ち腰の痛みが引いた気がしてきたのが実感したもんですから本気で驚きでした。

私も突っ込んでこのTMS理論を学んだ訳ではないので具体的にどうなんだと言われると困ってしまうのですが、間違いなく言える事は、この本を読んで以来、ぎっくり腰で寝込む事が一切無くなったということでしょうか?

どうしても非科学的要素の多い理論ゆえに科学的根拠を絶対条件とする医学者からは批判的な意見も多く、まだまだマイナーな腰痛治療理論ですが、もう少し世間に広まってもいい優れた解釈の理論だと私は思います。

長谷川先生のように「腰痛は怒りだ!」などと大っぴらに公言するのはちょっと勇気がいりますが、腰痛が治らなくて苦しい思いをしている人にはぜひぜひ一読してほしい本です。