■ |
脂漏性脱毛症とは
脂漏性脱毛症とはホルモンのバランス異常などで過剰に皮脂が分泌され、それらが毛穴を塞ぐ事で毛穴周辺部や毛根が炎症を起こし、髪が抜けるという症状を引き起こす脱毛症のことです。
脂漏性脱毛症という名前の響きから、過剰に分泌された皮脂が毛穴を塞いでしまうために髪が抜けると思われがちですが、皮脂で髪が抜けるというわけではなく、塞がれた毛穴周辺で頭皮の常在菌が異常繁殖し、その影響で毛根部近くまで炎症が及んで髪が抜け落ちるというのが本当のところです。
発毛や育毛を目指すうえで皮脂を取り除くことが有効であるという説が一般的に言われていることもあり、多くの育毛サロンでは抜け毛の原因としてこの「脂漏性脱毛症」を診断することが多いようです。
ですが、実際のところ、この脂漏性脱毛症になる人は極めてまれで、滅多なことでは脂漏性による脱毛が起こることはありません。
数値的に正確な統計を取ったわけではありませんが、脱毛症で悩む方全体の1%にも満たないはずです。
脂漏性脱毛症の具体的な症状としては、肉眼でも判るほどに皮脂が毛穴を塞いでいて、それを除去すると毛穴が赤く炎症を起こしているのが特徴です。
また、付着した皮脂を取り除いても、すぐに毛穴から皮脂が大量に分泌され、常に皮脂でベタベタしている状態が続きます。
この症状が酷くなると脂漏性皮膚炎になり、毛穴が化膿するなどして、痛みや激しい痒みを伴ってきます。
そこまで症状が進んでいる場合は、皮膚科の診断を受ける必要があります。
|
|
■ |
脂漏性脱毛症の原因
脂漏性脱毛症は、一般的にホルモン作用によるものが主な原因とされています。
しかし、それは脂漏性皮膚炎のことであり、脂漏性の脱毛症とはやや趣が異なります。
脂漏性脱毛症が酷くなると脂漏性皮膚炎に繋がってくることは間違いありませんが、他の部位の脂漏性皮膚炎とは違い、その根本原因がホルモンの作用によるものだけでないように思います。
私自身も脂漏性脱毛症を取り扱った症例が少ないので、はっきりとした原因の特定には至っておりませんが、主に栄養のバランスの悪化や過剰なストレスといったものが非常に大きい要素として関わってきていることは確かなようです。
また、思春期の世代が発症することが比較的多く、成長期における精神的不安定要素が引き金となっている可能性も否定できません。
|
|
■ |
脂漏性脱毛症の対策
繰り返すようですが、脂漏性脱毛症は極めてマイナーな脱毛症の一つです。
髪が薄くなったからといって誰しもが皮脂による脱毛を引き起こすことはありません。
但し、その一方で脂漏性による脱毛が存在することも確かです。
頭皮の炎症と皮脂の過剰分泌が治まるまでは刺激の少ないシャンプー等で丁寧に固着した皮脂を取り除き、頭皮の常在菌のバランスを保つ必要があります。
いずれにせよ、分泌される皮脂が原因で脱毛しているわけではありませんので、皮脂を除去することに終始した頭皮だけの対処は意味を成しません
たとえば ビタミンB群を多く含む、ほうれん草、魚介類、豆類、卵、などを積極的に摂取したり、食物繊維を多く含む、イモ類、海藻類、キノコ類など野菜中心の食生活に切り替え、脂肪分の多く含む肉類やナッツ類、スナック菓子類は避けるようにしたほうが賢明です。
また、刺激のつよいもの(煙草、アルコール、コーヒー、辛味や塩味や甘味の強いもの、等)はできるだけ避けてください。
加えて適度な運動とストレッサーを遠ざけるという意味からも、野山をハイキングするなど、心身ともにリフレッシュできる環境を生活の一部に取り入れることが非常に大切です。
万が一、 激しい痒みや痛みが伴っている場合には、速やかに皮膚科の診断を受け、外用抗真菌剤や抗ヒスタミン剤の投与を受ける必要があります。
但し、このとき絶対にステロイド系薬剤の処方を受けないようにしてください。
どうしても処方が必要な場合には、ステロイドの強度5段階中、最も弱いWeakレベルもしくはその一つ上のMildレベルのステロイド剤を短期間使うに留めておくようにしてください。
※参考:ステロイドの強さ
強い←----------------------------→弱い
Strongest>VeryStrong>Strong>Mild>Weak |
|
|
|
|
|